第2回日本周産期精神保健研究会は終了いたしました。
たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
謹啓
周産期医療の進歩はめざましく、この10年の間にも到底救命し得なかった小さな命を救うことが可能となり、治療の過程で臓器への損傷もより少なく、子どもたちの秘めたる素晴らしい能力を損なうことなく救命しようという方向に進みつつあります。私たちは多くの先輩方から、治療を受けた子どもたちが、退院し家族と幸せな社会生活を過ごせるようになってこそ、周産期医療の1つのゴールと言えると教えられて来ました。決してNICU(新生児集中治療施設)を無事退院することのみが目的ではないのです。
このような医療の進歩がみられ、多くのことがわかってきてしまう今日、様々な形で事実を告知される時、戸惑い、嘆き、大変な苦しみ中に置かれる家族は少なくないと思われます。授かった新しい命が日々大きく成長する中で、胎児診断技術の進歩、治療方法を進歩は、ある日突然思いもかけない事実を告げられることに遭遇してしまうことがあるかもしれません。それが治療しがたい、また出生後には命の存続が危ういこともあるでしょう。このようなご家族と、そこに携わる医療者が思うところを語りあいながら、子どもの命の輝きを共に考え、寄り添いいかに大切に過ごすことができるかが問われるようになってきました。
第1回日本周産期精神保健研究会が企画されるころから、NICU長期入院児への小児在宅医療支援が注目され、活動が徐々に活発になってきました。出生前に新生児科医師と産科医師、関連スタッフが家族とお話しをする中、NICU退院後のイメージをお話しすることも多くなってきました。素晴らしいお考えと感激しつつ説明をさせていただくことも増え、医療者の側からは、ただ治療一筋に焦点をあてるのみではなく、医師、看護師、助産師のみならず、臨床心理士、遺伝カウンセラー、ソーシャルワーカー、保健師、理学療法士あるいは保育士、更には在宅医療に関わる在宅医、訪問看護師など周産期から在宅医療に関わる全ての人々が職種を越えて情報を共有し、連携しながら、胎児・赤ちゃんと家族のこころに寄り添い支えることを目的としたアプローチの必要性は、第1回で想像以上にお集まりいただいた多職種の皆様が感じられたのを実感しています。
この広がりは現在予想を越えて進んでおり、平成21年「周産期精神保健研究会」設立以来、併せて8回に渡る地方セミナーを開催して参りました。「親子の物語が始まるとき、私たちにできることは? -周産期から在宅までの関わり-」をテーマに、第2回日本周産期精神保健研究会を開催させていただきます。赤ちゃんと家族の幸せな出会いを支えるために周産期精神保健に関わる1人でも多くの方々が参加され、意見交換の輪が広がることを願ってやみません。
謹白
平成27年3月吉日
第2回日本周産期精神保健研究会
会長 側島 久典