第1回日本周産期精神保健研究会は終了いたしました。

たいへん沢山の方にご参加いただき,ありがとうございました。

第1回日本周産期精神保健研究会開催のご挨拶

謹啓

 周産期はいのちが誕生するまでのプロセスを経て、人が人として生まれ育つ原点ともいえる大切な時期です。また、ひとりの人がわが子を授かり、親として誕生する時期でもあります。しかし、その大切な時期に、小さな体で誕生してきてしまったり、思いもよらない手術や障がいの告知を受けて、戸惑い苦しむ家族も少なくありません。

 このような中で周産期医療の目的は、誕生した赤ちゃんの身体とこころが健やかに成長していくように、種々の障がいを持つ胎児や重複した疾患を持つ超低出生体重児の赤ちゃんを救命することと同時に生涯に亘って高いQOLが得られるように最大限に機能を温存あるいは快復させることです。しかし、温存あるいは快復された機能だけが高いQOLを保証しているとは言えません。外来で新生児期に手術を受けた子どもたちをフォローアップしていて思うことですが、たとえば鎖肛術後に便失禁が残っていても、永久的人工肛門が付けられていても、両親・家族に愛情を注いでもらっている子どものQOLは決して低くはありません。逆に、完璧な排便機能が得られていても、入院中に両親の心が離れたり、退院後親から虐待を受けたり、崩壊した家庭環境で育てられる子どものQOLは極めて低いことが稀ならずあることに気が付きます。

 子どもが心身ともに健やかに育っていくために必要なもの、つまり長期的なQOLに影響を及ぼすものは、持って生まれた疾患やそれにより生涯に亘って背負うことになる機能的障がいよりも、そのような障害を受け入れ、子どもを丸ごと包み込み慈しむ肉親の愛情と家庭環境ではないかと思います。これが、30余年間、新生児外科を専門とする小児外科医として術後の子どもたちを診てきて得た私の実感です。

 この子どもと家族の幸せを支えるためには、医学的アプローチに加え、精神保健のアプローチ、すなわち、胎児・赤ちゃんと家族との繋がりを最優先させながら周産期に関わるすべて人のこころの健康を支えるアプローチが必要なのです。医師、看護師、助産師のみならず、臨床心理士、遺伝カウンセラー、ソーシャルワーカー、保健師、理学療法士あるいは保育士など多職種の人々がそれぞれの持てるものを注いで、周産期に関わるすべての人の身体とこころの健康を支えることを目的としたアプローチが周産期精神保健なのです。

 このような周産期精神保健のあり方を研究・実践することを目的に、私たちは平成21年に「周産期精神保健研究会」を設立し、未熟児新生児学会開催時に総会を、また年2回「地方セミナー」を開催して参りましたが、さらに多くの赤ちゃんと家族の幸せな出会いを支える大きな輪ができることを願って、「親子の物語が始まるとき、私たちにできることは?」をテーマに、第1回日本周産期精神保健研究会を開催致します。赤ちゃんと家族の幸せな出会いを支えるために周産期精神保健に関わる多くの方々が参加されることを願って止みません。

謹白

平成2412月吉日

1回日本周産期精神保健研究会会長 窪田昭男