第3回日本周産期精神保健研究会 開催のご挨拶

 謹啓

 周産期医療の進歩はめざましく、小さく生まれてきた子どもたちも大きな障害もなく助かるようになってきました。一方で、NICUに入院となる子ども達は増えてきており、いかに、子どもと家族のQOLを保証することができるのかが大きくクローズアップされるようになってきています。また生殖補助医療技術や出生前診断の技術の進歩など、高度な医療的なケアが提供できるようになった反面、様々な葛藤を家族に課すことも増えてきました。社会や医療技術の変化は著しく、子どもが生まれてくること、育つことに対する考え方も変化してきているのではないでしょうか。

 最近では、虐待や子どもの貧困など社会的な問題も注目されており、その報告数は年々増加しています。もしかしたら親と子にとって関係を築いていくプロセスを何重にも守り抱えていくことが、以前に増して必要になってきているのかもしれません。赤ちゃんがどんなに重症の状態で生まれてきたとしても、また家族がどんなリスクを背景に抱えていたとしても、子どもたちと家族の出会いの時期である周産期に、よりよいスタートをとることができ、退院後に支援の輪をつなぐことができたとしたら、もしかしたら親と子の歩みは違ったものになっていくのではないでしょうか。周産期医療が1つのゴールではなく、スタートの場として機能していくことができるように、地域の専門職とも連携し、切れ目のない支援の体制をいかに整えていくことができるのかが問われるようになってきているのだと思います。

 第1回日本周産期精神保健研究会では、多職種が連携してどう家族支援をしていくのか、周産期精神保健の始まりのうねりを参加者の方とともに共有することができました。そして、第2回日本周産期精神保健研究会では、出産前、出産直後から退院後まで、長期にわたる支援の在り方を検討してきました。

 そしてこの第3回では、医師、看護師、助産師のみならず、臨床心理士、遺伝カウンセラー、ソーシャルワーカー、理学療法士あるいは保育士といった周産期医療のスタッフとともに、地域で家族を支えていく保健師、行政担当者、在宅関連スタッフなど、赤ちゃんと家族のこころに寄り添い支える多職種が集うことで、それぞれの専門性を生かした連携を行い、家族を何重にも抱えて支援をしていくアプローチについて議論をしていきたいと思っています。「病院と地域で家族の心を支える―私たちにできることは?」をテーマに、第3回日本周産期精神保健研究会を開催させていただきます。赤ちゃんと家族の幸せな出会いを支えるために周産期精神保健に関わる1人でも多くの方々が参加されることを願って止みません。

 

謹白

平成29年1月吉日

第3回日本周産期精神保健研究会

会長 永田 雅子